EXOと私(蝶々少年たちのこと)

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※しうちゃん入隊前に書いた日記などを再構成しています。

 

 

ふたつの報せ

午後さえ行けば明日は休み!6月はゆっくりできるぞ!…と思って、朝昼を兼ねたごはんを食べた直後にこのニュース。

 

news.kstyle.com

 

 

そしてこの30分後には、ソウルコン6デイズが発表。

 

 

もう、気持ちがついていかないよね。

 

日程を見れば、ギョンス不参加なのは明らかだし。

もちろんしうちゃんもいない。

レイさんが参加するということは、おそらくかなり可能性が低い。

 

となると、すほくん、べくちゃん、ジョンデさん、チャニョル、カイくん、おせふんの6人での公演、ということになる。

 

なんなんだろ、12人だったはずが、その半分の、6人になっている。

(もしかして、ポスターの地球と火星?が、半分で割れてるのって、そういう意味?)

わたしは8人で活動している時期からしか知らないので、K/M時代から知ってる先輩エリたちの心中を想像することさえはばかられる。

 

2月にソウルコンの噂が立って、でも急にキャンセルになったっていうことがあったよね。そのあとすぐCBXのイルコンが発表になった。CBXのしうちゃんを見ることができて、私はうれしかったけど、EXO完全体を見れないまましうちゃんが入隊してしまったことは確かに悔しくて、悲しくて。

神戸3日目で、「CBXでさえ、できるかどうかわからなかった」としうちゃんが言っていたし。

それほど今、EXOがえっせむから冷遇されているということなのか、と、邪推してしまう。

いや、わかんないけれど。なんにもわからない。

 

 

 

そして今日のギョンスのニュース。

全く予想もしてなかった。

むしろ、7月から『100日の朗君様』がBSで放送されるくらいだから、プロモーションで来日しないだろうかとか、来年の『スウィング・キッズ』のプロモーションでも来日するよね?とか結構楽しみにしていた。

 

しかも最近、EℓyXion[dot]のライブ盤をよく聞いていて、ジョンデさんの声帯もやばいけど、ギョンスの声帯もぶっとびすぎだし、特に「For Life」のギョンスの声やべえなって思っていたところだった。

 

EXOのD.O.の歌声を、私は生で聴けないまま、彼は入隊してしまうようです。

 

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坊主はこれで見ているから、精神的ショックは少ないとはいえ、役のための坊主と、義務遂行のための坊主では、意味合いが全然違うよね。

 

 

ふと、ジョンデさんの入隊のことを考えてしまった。

SHINeeのキーくんが今年軍楽隊に入ったこともあって、なんとなく、ジョンデさんもそっちを狙ってたりするのかな…などと考えていて、そしたら来年の3月かな、とか、勝手に想定していたんだけど、そういう想定も無意味なのかもしれないね。

年齢順ではなく、意志の順だとしたら、もうわからない。

でも、彼はきっと、私たちに不安な顔など見せず、するっと入隊するような気がしている。

彼にはそういうメンタルの強さというか、アイドルとしての分別がある気がしている。

 

 

 

 

好きな人が徴兵されることについて

韓国の兵役について、調べたいと思っていても、なんだか適切な書籍をみつけることができずにいる。それっぽい新書とかノンフィクションとかはちょこちょこみかけるけど、著者の肩書を信用できなかったりして、手が出せない。専門の研究書を探してみても、興味があるやつは絶版になってたり。

ネットで調べてヒットする記事なんかで見た訓練内容を見ると、本当に嫌になる。恐怖だ。

 

Twitterで、しうちゃんは今日こんな訓練をしました、というtweetが回ってくるけれど、それを見るたびに、「どうしてこんなことをしないといけないんだ?」という気持ちになる。

国防って何だろう。軍隊に入る、兵士になるって、どういうことなんだろう。

今の軍隊がどういうことをしているかはわからないけど、10年近く前、アメリカ軍が最新機器を使って、ゲーム感覚で空爆を行う訓練をしていたのを見て、ぞっとした記憶も多少はある。ぽちっとボタンを押せば、一気に周辺を爆破して、ターゲットを消滅させることができる。

 

 

 

何らかの善悪の価値判断があり、そこで悪であるとか、国というものを守るうえでの阻害要因になるものは、抹消させる。消滅させる。壊滅させる。そのためになにをするかといえば、ものを壊したり、人を殺したりして、制圧するわけで。

私にとっての軍隊って、そういうことをするため機関なんだよ。

人を殺せるようになる訓練をするところ。

私はそういう認識をしている。

 

 

たとえば、こういうことだ。

5月18日、つまり光州事件が勃発した日が、今年はちょうど週末だったので、せっかくなので『タクシー運転手』という映画を観たのだけれど、あの映画では、軍人たちが無辜の市民をがんがん撃ち殺してるんだよね。なんにもしていない市民を。ただ、目の前で撃たれた命を救おうとしただけの市民を撃ち殺すんだよね。容赦なく。これ、たかだか40年前の話。

klockworx-asia.com

 

もちろん、いまはそういうふうに、市民に銃口を向けるってことはないかもしれない。

でも、軍隊は上意下達のシステムなわけで、そうやって統率されているからこそ軍隊として機能するわけで、すこしでも情勢に異変があれば、あるいは指示系統に異変があれば、そういうこと――誰かを制圧するために武力を行使すること――が可能になるほどの力を持っているということだ。

それが私にはすごく怖いことだと思っている。

だから、「やっぱシビリアンコントロールって大事だな」なんて、思ったりもする。

 

 

 

 

あと、思うのは。

軍隊ってやっぱり、「男性性」をぐつぐつと煮詰めたようなものだと思うの。

とすればね、韓国で、軍隊に行くことが「市民」の条件なのだとしたら?

兵役義務のない女性は「市民」ではないのだろうか? ということになってしまう。

そんなはずはないのに。

軍隊的な、ホモソーシャル文化が、女性を抑圧しているのではないか、と考えてしまう。

いま、韓国フェミニズムがアツいなって、日本にいると感じるんだけど、韓国でフェミニズムがアツくならなければならない理由があるのだとしたら、そこに軍隊っていう問題は、どれだけかかわってくるのかと、考えてしまう。

 

良心的兵役拒否が許されていないというのも、ぞっとする。

そうか、まだ、戦争中なのだと思い起こされる。

 

 

 

 

好きな人が軍隊に行くという事実について、わたしはどう経験したらいいのかわからない。軍隊というものがいったい何なのか、「人殺しの訓練をする」という以外のイメージがわかない。

どんなに社会的に好意的に捉えられるような活動を見せられたとしても、でも結局は、人殺しをしない軍隊なんてありうるのか? と思ってしまう。

その行為にたどり着かない軍隊なんて、ありうるのだろうか?

 

 

 

「経済効果」なんて理由になんないよ

それと、これは重要なので、言いたいのだけれど。

自分の好きなナムドルたちが、軍隊に行ってほしくないとはいえ、「K-POPの人気アイドルが軍隊に行くことで、経済効果が」云々と理由をつけて、世界的に人気のあるアイドルを兵役免除の対象にしよう、という議論は、どこか的外れに感じる自分もいるの。

 

じゃあ、経済的に価値を生み出せない人間は、軍隊に行かされても仕方ないのか?

どうしてそこで差をつけるの? その正当な理由は何?

そんなことを考える。

 

ほんとうは、アイドルとか、経済的な価値を生むとか、国威発揚になるとか、そういうことはすべて関係なく、誰もが、徴兵されないことが、いいと、私は思うんだけれど。

 

 

 

ナムドルを好きになってから、私は毎日、終戦を望んでいる。

そして早く、徴兵制がなくなればいいと思っている。

誰もが自分の人生を、自分が望んだように生きられるように。

 

news.livedoor.com

調査は昨年10~11月、全国の19~59歳の男性3000人を対象に実施された。

「できるだけ軍隊には行かないほうが良いか」との質問には20代の82.6%が「そうだ」と答えた。30代は75.3%、40代は70.6%、50代は51.8%だった。

「軍服務は時間の無駄か」との質問には20代の68.2%が、「軍服務で失うものの方が多いか」との質問には73.5%が「そうだ」と回答した。

 韓国ではそうやって毎年、多くの男の子が、自分の人生を断絶させて、兵士にさせられているのだ。これが人権侵害ではなくて何なのだろうか。*1

アイドルだからとか、才能があるからだとか、そういう理由で免除にしてくれと、お伺いを立てるのではなくて、どんな人であっても、どんな存在であっても、わたしたちはまず安全な場所で安心して暮らす権利があるのではないか。

 

 

といったところで、平和ボケ日本人のわたしが、何を言っても、空転するばかりなのだ。特に知識だってない。

けれど、私の好きな人たちが、彼らのいちばんうつくしくてかっこよくてセクシーでキラキラ輝く時期を、このような形で抑圧されてしまうことに、悲しさやさみしさを覚えることは確かなのだ。

でも、それも、所詮、個人的な私の感情の問題であって、市民権や、国家という観念を前にしたときには、何の効力も持たないのかもしれない。

 

 

 

精いっぱいを生きるしかない…のだとしても 

それに、わたしは、今この時代を生きている彼らが、「国防の義務」というものを遂行すると決めたこと、その決意まで否定したくはないと思ってしまう。

彼らには、彼らの生きている社会の価値観がある。韓国という国の国民として肉体や精神が紐づけられているのなら、その中で精いっぱい生きるしかないのだ。

彼らの生きる社会の中で用意された選択肢のうち、可能な限りベストな選択肢を選んだり、消極的であったとしても、そのチョイスの中でどうにか生きつないでいくしかない。

 

わたしたちは、許された範囲の中で、精いっぱいの人生を生きるしかない。

自分のできる限りの範囲で生きることを続けるしかない。

 

だから、わたしは、兵役へ行ったしうちゃん、行くことになったギョンス、そしてこれから兵役に行くであろう私の好きな人たちが、その選択を、人生を、後悔することなく、まっとうできることを祈ることしかできない。

そして、どうか、健康で、けがや病気や事故にまきこまれずに、もう一回、私たちの前に姿を見せてほしいと思う。

 

 

 

そんな、わかったような口を利くこともできる。

 

 

だけど、ほんとうは、いやだ。

 

 

不安だよ。

わたし、待てる自信がないの。

みんなが兵役に行って、姿を見せなくなってしまった間、違うものに気を取られてしまうかもしれない。違う新しい推しをみつけてしまうかもしれない。

今ここで感じていた、みんなにたいする猛烈な熱い感情も、すっかりさっぱり忘れてしまうかもしれない。

昔の恋人とのことを忘れるように、みんなのことも、忘れてしまうかもしれない。

私はそれがとても怖い。

いまここでこんなに、ショックを受けている私も、数か月たてば、すっかり忘れてしまうのかもしれない。

みんなが、命にかかわるような訓練をしていても、前線で戦うことになっても、平然としているのかもしれない。

そのことが怖い。

いやだ、平然となんてしたくない。

でも、でも、外国の内政に首を突っ込めるほど、私は賢くもないし、元気もない。

ただただ、彼らの幸福を、人生の幸福を祈るしかない。

 

 

 

ああ、無意味だ。こんな祈りは、無意味で。

彼の身の安全を何も保障しないし、彼の人生になにも貢献しない。

アイドルとして売られている彼らに金を支払うことのほうが、よっぽど、意味がある気がしてしまう。

 

 

 

虚無に襲われる。

なんなんだろう、わたし、どうしてなんにもできないんだろう。

 

 

 

 

 

それは社会システムの問題だと思う

しうちゃんが入隊するとき、わたしは、泣きたいような、でも、泣くのも違う感じを覚えた。

いったい誰のための涙なのかがわからなかった。

しうちゃんのための涙じゃない気がした。

 

しうちゃんは、CBXコンでは、「泣きません」と言って、泣かなかった。

それにわたしは、彼のプロ根性を見た気がして、とても胸を打たれた。

ああ、すごい、彼はプロのアイドルなんだと思った。

 

でも、なんかちょっと、やばいなと思ったのは、その後くらいからで。

 

MCで「よそ見するなよ、もしほかの男のところになんかいったら、帰ってきてから殺すぞ」的な発言をしたり、ペンミグッズのアクセサリーやコムシンモチーフの充実さ、突然SNSの更新が増える、など、束縛度が急に上がった気がしてね。

 

これまでわたしが、短い期間ながらも、見てきたしうちゃんは、基本寡黙で、弟たちを前に出させてあげて、自分は後方でどっしり構えてるみたいなふうに見えた。

リアリティでも、何にも考えてなさそうというか、マイペースにマイワールドを生きている感じがしたんだよね。自撮りばっかりしてる、みたいな。

そんな彼が、突然、ペンからの愛に執着するような言動を始めたことが、ものすごく短期のペンの自分でもわかるのが、すごく、そわそわしてしまった。

 

 

もちろん、しうちゃんにがっかりした、ということではなくて。

むしろ、しうちゃんってこういう人じゃなかったと思うのに、こういた行動に出てしまうような状況に置かれているということが問題なのだと思ったんだ。

つまり、彼が、自分の築きあげてきたキャリアを断絶させてまでも、やらなければならない「国防の義務」という制度が、問題なのだと思った。

しうちゃんを、こういうふうにさせているのは、この制度があるからだと思ったんだ。

この制度がなければ、彼は、エリたちが自分から離れていくことに不安を覚えたり、自分の数年後を不安に感じたり、しなくて済んだだろう。

EXOのみんなと一緒に活躍し続けることができただろう。

もちろん、アイドルとして大幅に人権が制限された生活を送らなければならないのかもしれないけれど、でも、そこで人を殺したり、傷つけたりするような、心構えをする必要はないでしょ。

 

 

もちろん、国防の権利はどの国にもあるのだろう。そしてこのことに他国の国民がやいのやいの言っても意味がないこともわかってる。

でも、私は、権力が発揮される構造の中に、私の好きな彼らが組み込まれるということが、どうしても、受け入れがたくて。

 

どうやったら、韓国の、あるいは、この社会で「男性性」に縛られながら生きている人たちを、楽にすることができるのか。

そんなことを考える。

 

 

*1:ただ、男性だけが軍隊に入らなければならないことが果たして差別なのかと言われたら、私はそれは違うと思う。市民としての権利を得るための義務として軍隊があるのだとしたら、権利だけ得て義務は放棄するってのは違うんじゃない?と思うのだ。もし軍隊が嫌なら、徴兵制を市民の条件に付してくるような社会の価値観を批判すべきだと思う。兵役に行かなくても、誰もが市民になれるようにならないと。